公正証書遺言が遺されていたらどうすればいい?

 

公正証書遺言を遺した方がお亡くなりになったときに、相続をどう進めていけばいいのかわからない、という相続人の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

相続が開始すると、公正証書遺言の内容を実現する手続きに入りますが、これを「執行」といい、執行する人を「遺言執行者」と呼びます。

そこで今回は、公正証書遺言の内容を実現するために必要不可欠な「遺言執行者の任務」について解説します。

遺言執行者とは

遺言者は故人となられていますので、遺言者に代わって遺言の内容を実現する人が必要になります。この役割を担うのが遺言執行者です。

特に遺言書に次の事項が明記されているときは遺言執行者の執行行為が必要になります。

  • 遺言による認知(民法781条2項)
  • 遺言による相続人の廃除(民法893条)
  • 遺贈の実行(遺贈とは遺言者が相続人ではない人に自己の財産を与える処分行為を言います、民法964条)

遺言執行者は遺言書で指定されているか、もしくは第三者に指定を委託することが明記されていることが好ましいのですが、明記されていない場合は、裁判所が相続人・債権者等の利害関係人の請求によって選任します(民法1010条)。

遺言執行者は誰でもなれるものではなく、

  1. 未成年者
  2. 破産者

は遺言執行者になることができません(1009条)。

遺言執行者に指定または選任された人は、遺言執行者に就任することを拒否することも出来ますが、就任を承諾した場合はただちに遺言執行者の任務を遂行しなければなりません(民法1007条1項)。

また、遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければなりません(同条2項)。

この通知を受けた相続人は、その後、相続財産を処分することや、遺言の執行を妨げることはできません(民法1013条1項)。

公正証書遺言の遺言執行者の具体的な任務とは?

公正証書遺言は検認手続きは不要です(民法1004条1項2項)。したがって、すぐに任務(執行)に着手しても問題はありません。

遺言執行者は「・・・遺言の内容を実現するため、・・・遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する」と定められています(民法1012条1項)。

これはかなり強力な権限です。

遺言執行者がこの権限を行使して、やらなければならないのが主に次の二つの相続手続きです。

  • 相続人調査
  • 財産目録の作成(その前提としての財産調査)

順に説明します。

(1)相続人調査

これは相続人の範囲を確定させるために必須のことです。

まず遺言者の出生から現在までのすべての戸籍謄本(現在戸籍・除籍等)を取り寄せます。これによって相続人の範囲が確定します。

先述のように、遺言執行者は遺言の内容を相続人に通知する義務を負っていますが(1007条2項)、その通知先の相続人が具体的に判明・確定します。

(2)財産目録の作成

財産の主なものは、預貯金と不動産です。

1.預貯金

まず遺言執行者は、遺言者の預貯金のある金融機関に自身が遺言執行者に就任したことを連絡します。これで相続人が勝手に遺言者の預貯金を引き出すことを防止できます。

次に通帳・銀行印を確保し、金融機関で遺言者の預貯金の残高を確認し、残高証明書を発行してもらいます。

残高証明書の発行に必要な書類は金融機関によって異なります。あらかじめ連絡しておいた方がいいでしょう。

2.不動産

法務局から登記事項証明書を取り寄せましょう。遺言者が所有している不動産が分かります。

市町村役場で名寄帳(なよせちょう)も取り寄せましょう。名寄帳とは、遺言者が所有している不動産の一覧表です。固定資産税課税台帳ともよばれています。

3.有価証券(株式・公社債)

株式・公社債等の有価証券は預託先(信託銀行が多い)に連絡した後に、遺言者所有の株式数や公社債数等の評価額を知らせてもらいましょう。

財産は積極財産のみならず、消極財産つまり負債も含まれます。よく調べて遺言者の財産総額を正確に把握しましょう。

財産目録の作成

遺言者の財産を把握した後に、遅滞なく、財産目録を作成し、これを相続人に交付しなければなりません(民法1011条1項)。

公正証書遺言の遺言執行者の任務完了とは?

遺言執行者は、公正証書遺言の記載に従って、財産目録にある遺言者の財産を相続人に相続させなければなりません(遺産分割)。

遺産分割が終了すれば遺言執行者の任務は完了です。遺言執行者は任務が終了したことを相続人に通知しなければなりません(民法1020条・655条準用)。

まとめ

ここまで見てきたように、公正証書遺言であれば遺言執行者が相続手続きが進めやすいといっても、そう簡単にできるものではありません。

しかし、「自分は遺言執行者だから」とすべてを1人で背負ってしまい、結果としてなかなか手続きが進められないという方もいらっしゃいます。

仕事などで忙しい中で手続きを進めるのは想像以上に負担が大きいため、もし相続の手続きに不安をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度行政書士までご相談ください。

  • メールは24時間承っておりますが、返信に2営業日ほど頂く場合がございます。

    ご希望の連絡先 (必須)
    電話に連絡メールに返信どちらでも可

    ページトップへ戻る