相続が発生したとき、最初に何をやればいいの?

 

人が亡くなると、その時点で相続が発生しますが、そう何度も経験するようなことではありませんので、相続が発生したら何をしたらいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

しかし、相続が発生したあとに適切な行動ができないと、非常に大きな問題になってしまうこともあります。

そこで今回は、相続が発生したときに、まずやるべきことを紹介します。

遺言の執行や、遺産分割後の手続きについてはまた稿を改めて説明します。

公的機関への届出

まず最初に、人が死亡した場合、公的機関に届けなければならないものがいくつかありますので、以下に具体例を挙げて説明します。

死亡届

死亡届は、医師の書いた死亡診断書(病院内で死亡)又は警察署の死体検案書(病院外で死亡)を添付して市町村役場の窓口に提出します。このとき、あわせて火葬許可申請書も提出しましょう。死亡後7日以内です。

通常これらの手続きは葬儀屋さんが代行してくれます(委任状が必要)。

年金

年金は死亡届を提出して受給停止手続きを取らなければなりません。提出先は社会保険事務所又は年金相談センターです。これは死亡後14日以内です。

世帯主変更届

世帯主変更届は必要な場合のみ提出します。以下の場合のみです。

  1. 故人に配偶者はいないが、15歳以上の子供が二人以上いる場合。
  2. 故人に配偶者と15歳以上の子供が一人以上いる場合。

健康保険

故人の社会的身分によって資格喪失届の提出先が異なります。

1.会社員の場合

「健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届」を事業所に提出します。5日以内です。

2.自営業の場合

「国民健康保険資格喪失届」を市区町村役場に提出します。

3.「75歳以上」の場合

「後期高齢者医療保険資格喪失届」を市区町村役場に提出します。

2・3ともに死後14日以内です。

相続財産の確認

生前に相続財産の目録などを作成している場合には問題はありませんが、どのような相続財産があるのかをしっかりと把握する必要があります。

遺産分割が終わったあとに資産価値の高い相続財産が見つかったりすると、それがいわゆる「相続争い」の原因にもなりますので充分な調査をしましょう。

そして調査後に「財産目録」を作成することで故人の相続財産の内容が確定し、遺族は相続財産をしっかりと把握することが出来ます。

それでは財産の種類に応じて以下に具体的に説明していきます。

預貯金

預貯金は故人名義の通帳・証書等を確認します。

株式・公社債

株式・公社債等の有価証券は証券会社や信託銀行に預託しているのが通常ですから、預託先で数額や評価額を確認出来ます。

不動産

不動産は故人名義のすべての土地・建物について法務局で登記簿謄本を収集します。これで故人所有の不動産の種類・数量・価額が分かります。

更に出来れば、都道府県税事務所で名寄帳も収集しましょう。各不動産の評価額がわかるとともに、把握できていなかった不動産が見つかることもあります。

書画・骨董品

書画骨董品については素人ではその評価は不可能です。鑑定人にその金銭的評価額を鑑定してもらいましょう。

以上が財産目録の作成手順ですが、かなり面倒なものがあります。

しかし、先述のように「相続争い」を避けるため、また遺産相続をスムーズに進めるためにも財産目録の作成は必要不可欠なことですので必ずやりましょう。

⁂ 補足説明

かつては人が死亡すると故人の銀行口座は凍結され、遺産分割協議が終了するまでは凍結は解除されませんでした。

しかし近時民法改正がなされ、2019年7月1日より葬儀費用のために、ひとつの銀行から150万円を限度に故人の預金を引き下ろすことが出来るようになりました(民法909条の二・法務省令)。

引き下ろしに必要な書類は銀行によって異なりますので、事前に口座のある銀行に確認しておきましょう。

相続の放棄と限定承認

次に相続財産の内容と相続人の権利とについて説明します。

相続財産というと故人の所有する財産だけに着目しがちですが、負債も同時に相続することにも注意が必要です。

つまり故人が借金(負債)を抱えていればそれも相続し、返済の義務を負うということです。財産だけ欲しい、借金はいらないといった身勝手な態度は許されません。

相続財産はあるが負債も大きい、という場合に民法上相続人に認められているのが相続の放棄と限定承認です。

限定承認も相続開始を知った時から3ヶ月以内にしなければなりません。

相続放棄は時々現実に見られますが、限定承認は現実にはほとんど見られません。その理由は後述するように相続人全員が共同して行わなければならないという困難さにあります。ひとりでも反対すれば実行はできません。

以下それぞれについて簡単に説明します。

相続放棄

相続人は相続を放棄することが出来ます(民法915条1項)。ただし、裁判所で相続を放棄することを申述しなければなりません(民法938条)。

「申述」とは相続放棄の意思を裁判所が確認する、という意味で裁判所の承認や許可が必要ということではありません。

相続放棄は相続開始を知った時から3ヶ月以内にしなければなりません。

限定承認

限定承認とは、相続によって得た財産の限度で故人の負債を支払うという意思を明示して相続を承認することです(民法922条)。この場合も裁判所で申述しなければなりません(民法924条)。

更に相続人が複数いる場合は、全員が共同して行う必要があります(民法923条)。

相続人の調査

財産目録を作成し、相続財産の総額を正確に把握した後にやらなければならないのが相続人調査です。

何人の相続人がいるのか、またどこにいるのかが判明しなければ遺産分割は不可能です。遺産分割をスムーズに進めるためには相続人調査は不可欠です。

この相続人調査に欠かせないのが戸籍謄本と除籍謄本です。

戸籍謄本は故人と、記載されている全員との関係を証明するものです。相続人を確定させるためには故人の出生時までさかのぼって調査します。

除籍謄本とは戸籍謄本に記載されている人が死亡、結婚、離婚、養子縁組等で戸籍から抜けて行き、ついに全員がいなくなった戸籍のことです。

結婚、養子縁組等では相続権は失いませんが、死亡の場合は失います。除籍謄本はその人の「死亡」を知る正確な情報源です。

故人の各種契約の解約や名義変更

亡くなった方が契約していた様々なサービスは、そのまま放置すると料金が発生し続けてしまうため、早めに解約や名義変更の手続きを行いましょう。

水道光熱費や携帯電話などは比較的気づきやすいのですが、クレジットカードの手続きを忘れて、数ヶ月に渡ってカード払いが続いていたということがあるため注意が必要です。

この他に生命保険があります。受取名義人に支払われますが、故人が受取名義人の場合は相続財産になりますので注意して下さい。故人の運転免許証やパスポートは失効手続きを速やかに取って下さい。

まとめ

このように、人が亡くなり、相続が発生するとやらなければいけないことは意外と多く、煩雑なものも多いが故にトラブルが発生することも稀有ではありません。

民法の相続に関する規定は相続人間のトラブルの発生を予防することを目的に設けられたものです。

遺産相続を揉めることなくスムーズに進めたい、とのお考えをお持ちの方は私たち行政書士など専門家の力を借りることを検討してみてはいかがでしょうか。

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