空き家を相続してしまった場合どうするか

 

相続される財産の代表として不動産がありますが、空き家など、使い道のない家屋や土地の扱いに悩まされるケースに関する相談が増えてきています。

収益力のある不動産であれば様々な選択肢があるのですが、そうでない場合には、固定資産税や管理のための費用がかかる重い荷物になってしまいます。

さらに、建物が老朽化していれば、台風などの際には建物の破片が飛び散るなどして、近隣の人々にも被害が及びかねません。

そのような事態にならないためにはどのような手段があるのでしょうか。

生前に対策しておく

相続後に問題になりそうなことが予測出来ていれば、相続発生前に処分することで、財産の整理もでき相続がスムーズに進みます。処分としては次の二つが考えられます。

解体・撤去

空き家が人の住居に使えないくらい老朽化していれば、解体・撤去するのが好ましいでしょう。

敷地は借地ならば賃貸人に返還し、所有地ならば賃貸・売却を考えます。

建替え・修繕・改修後売却または賃貸

空き家を建替え、修繕・改修し、建物としての財産価値を高め、他の人に売却・賃貸するのも選択肢のひとつです。

敷地は自己所有のままで建物を賃貸するか、建物を土地付きで売却します。

不動産を相続した後の対応方法

前述のように、相続開始前に対策ができているのが望ましいのですが、不動産は簡単に処分できないことも多いため、なかなか思うように対策できないケースも多いです。

では、相続開始後の対応方法にはどのようなものがあるのでしょうか。

相続した不動産の有効活用

まずは相続した不動産を有効活用するという方法があります。

次の三つの方法が考えられます。

  • 賃貸する(場合によってはリフォーム後)。
  • 新築して売却・賃貸する。
  • 空き家を取り壊し、更地にして売却・賃貸する。

次に詳しく説明します。

賃貸する(場合によってはリフォーム後)

空き家の状態が通常の居住に十分耐えられるものならば、第三者に賃貸することが挙げられます。その際には、ハウスクリーニングは必要でしょう。

しかし、空き家の状態が芳しくない場合は修繕・リフォームをして賃貸する方法を考えましょう。

最近、若者に人気のあるシェアハウスとして貸し出すことも考えてもいいでしょう。都市部に住む若者にとっては賃料負担が軽減でき、利用しやすい物件です。

新築して売却・賃貸する。

この活用法は空き家の解体や新築に費用がかかりますから、都市部の家賃が高額な地域でなければ収支が合わなくなることに注意すべきです。

この方法を採用する場合には、事前にしっかりと収支計画を立てましょう。

さらに家屋の売買・賃貸は法律が関わりますから、トラブルを避けるためには専門業者の任せたほうがいいでしょう。

空き家を取り壊し、更地にして売却・賃貸する。

解体に多少の費用がかかりますが、更地ならば駐車場にしたり、土地を貸したりして収益を上げることが出来ます。もっともこの方法は、車の多い都市部に限られます。この場合も専門業者に任せるのが好ましいと思います。

相続放棄

有効活用と言えるか疑問がありますが、空き家に関する紛争を避けるために相続放棄という手段があります。

相続した不動産を活用するのが難しいようなケースでは、相続放棄というのもひとつの選択肢になるでしょう。

相続放棄の手順と注意点

相続放棄とは、被相続人の遺産相続権を有する相続人が、自己の相続権をすべて放棄するという意思表示をすることです。

それでは相続放棄の具体的な手順についてみていきましょう。

相続放棄は自分が遺産相続権を有すると知った時から三か月以内に家庭裁判所で放棄することを申述しなければいけません(民法915条・938条)。

「申述」とは、裁判所がそれを確認するという意味で、裁判所の許可が必要ということではありません

相続放棄をすれば、相続人は初めから相続人でなかったものとみなされます(民法939条)。

相続放棄を利用するときには、以下のような点に注意が必要です。

相続放棄は被相続人の財産のすべてを放棄するもので、財産の一部や部分的な放棄はできません。

また相続放棄は相続権を絶対的に消滅させるものですから、子どもや孫が代襲相続することも出来ません。

*相続放棄は行政書士の業務ではなく弁護士の業務ですが、空き家対策の一つの手段として説明に加えました。

おわりに

2015年2月26日に「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、同法で「特定空き家」という物件が定められました。

「特定空き家」に指定されると、建物の敷地に対する固定資産税の軽減措置がなくなり、通常の更地と同額の税金が課せられてしまいますが、これには税制面で空き家をなくそうとする行政側の意図が感じられます。

空き家対策と言っても、結局は不動産の処分・利用ですから、法律上面倒な事情が生じますので、ここは行政書士や弁護士等の専門家に任せた方が安心です。

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