遺産分割協議書について徹底解説

 

相続手続きにおいて、遺産分割協議書の作成というのは非常に重要な作業になることが多いですし、様々な相続に関する手続きにおいても必要になるケースが多々あります。

そこで今回は、遺産分割協議書について詳しく解説します。

遺産分割協議とは

まず最初に遺産分割協議書作成の必須の前提である遺産分割協議について説明します。

亡くなった人が遺言書を残していれば、その内容にしたがって遺産の分割・相続を進めれば遺産相続は終了しますが、故人が遺言書を残していない場合には遺産の分割・相続はどうすればいいのでしょうか?

このような場合は相続人が話し合いで遺産の分割・相続を決定しなければなりません。

これを遺産分割協議といいます。

また決定した内容は、各種の届出に使用するためだったり、相続人の間で記憶違いなどが生じないよう文書=遺産分割協議書にします。

遺産分割協議に必要なことは次の二点です。

  • 相続人全員が参加すること
  • 協議の結果を文書にすること

相続人が一人でも欠席すれば、その協議は無効になります。

なお、相続人に未成年者がいる場合は、その代理人の出席が必要です。

相続の無資格者はもちろん出席できません。

遺産分割協議で決定するべき内容

遺産分割を滞りなく進めるために、協議に入る前にやらなければならないことが二つあります。それは、法定相続人の確定と相続財産の調査です。

より具体的には以下のとおりです。

法定相続人の確定

相続人調査ともいいます。

故人(被相続人)の出生時から死亡時までの戸籍謄本、除籍謄本等を取り寄せ、(推定)相続人を確定させます。

推定相続人が確定した場合は、「相続人関係図」(相続人の関係を説明したもの)を作成することをお勧めします。推定相続人全員に相続人の関係を理解してもらうのに重宝します。

相続財産調査

被相続人の所有する財産の額や数量を調べることで、財産の種類によって調査方法が異なります。

預貯金

銀行等の金融機関に被相続人名義の通帳・預金証書等を提出し、残高証明書を発行してもらいます。

不動産

  1. 法務局で被相続人名義のすべての土地・建物についての登記事項証明書(登記簿謄本)収集します。
  2. 都税事務所で名寄帳(なよせちょう)を発行してもらいます。その不動産の評価額が分かります。

株式

株式は、預託先の証券会社や代行会社(信託銀行が多い)に預り証を提示して被相続人名義の株式の数額を教えてもらましょう。

財産目録の作成

財産調査が終了すれば、財産目録を作成します。これで被相続人の所有する財産が明確になります。

相続人関係図と財産目録は遺産分割協議の重要な資料ですので、必ず作成しましょう。

遺産分割協議の開始

推定相続人全員が出席し、相続人関係図と財産目録を資料として遺産分割協議を始めます。

協議がスムーズに進み、遺産分割協議書の作成にまで至るのならば問題はありません。

しかし、この協議が揉めて、紛糾し、なかなか話がまとまらないということも少なからず耳にする話しです。相続が争続になってしまったのです。

被相続人にとっては、自分の残した財産が家族のもめごとの原因になっているのは悲しいことでしょう。

遺産分割協議書作成

遺産分割協議が終了すれば、協議で決定したことを文書にします。

完成した遺産分割協議書には相続人全員の署名と実印が必要です(記名押印で進められる手続きもあるのですが、結局は署名と押印が必要になることがほとんです)。

なお、繰り返しになりますが。相続人が一人でも欠けていれば、その協議書は無効になります。

遺産分割協議書を使う手続き

具体的には以下の通りです。提出先から原本の還付を受けることもできますが、数通用意しておいた方がよいでしょう。

預貯金等についての手続き

先述の財産調査と同じく、金融機関に協議書と残高証明書を提出し、被相続人の預貯金の口座名義変更もしくは払い戻しを受けます。

尚、近時の民法改正により、払い戻しの時効期間が10年から5年と変わりましたので、ご注意下さい(2020年4月1日より)。

不動産

不動産の名義変更は法務局で、登記名義人を被相続人から相続人に変更することになりますが、登記は義務ではありません。

したがって、放置することもできますが、権利関係を明確にするためにも協議書を提出し、登記をするのが好ましいと思われます。

権利関係の明確化、それによる紛争を防止するために、現在、相続登記を義務化する法案が法制審議会で審議されていますので、早晩、相続登記は義務化されるでしょう。

株式

株式は、証券会社や代行会社に預かり書と遺産分割協議書を提出して株主名簿の名義を被相続人から相続人に名義書換をしてもらいます。

名義書換をせずに放置しておくと、利益配当を受けられなくなります。

まとめ

上述しましたように、遺産分割協議書の作成はすんなりとは行かず、困難も伴い、またトラブルも生じやすいです。

ここは専門家に関与させ、少しでも協議書の作成をスムーズに進めることをおすすめします。

~でも遺産分割協議書作成のお手伝いをしていますので、お困りの方はぜひご相談ください。

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