【行政書士インタビュー2】子供のいない夫婦はどのような相続対策を行うべきか

 

本日もよろしくお願いいたします。 

最近は子供のいない夫婦間の相続も問題になりやすいと聞きます。子供がいない場合、相続はどのように行われることになるのでしょうか。

-2つのパターンに分けて説明します。

まず1つめが、亡くなった方の配偶者(※妻や夫)と、亡くなった方の両親が相続人となるパターンです。

故人の配偶者と両親が相続人の場合は、配偶者は遺産の三分の二を相続し、両親は残りの三分の一を相続します。

2つめのパターンとして亡くなった方の配偶者と、亡くなった方の兄弟姉妹が相続人になるパターンです。この場合は、配偶者が遺産の四分の三を相続し、兄弟姉妹が四分の一を相続します。

子供のいない人の相続が問題になりやすいのは、どのパターンでしょうか。

-さきほどの2つめに挙げた配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合です。

1つめのパターンでは、相続人の数が限られていますのでトラブルが生じることは稀ですが、2つめのパターンは相続人の数が多く、様々な利害がからんでトラブルが生じる可能性も多くなります。

亡くなった方の配偶者と、亡くなった方の兄弟姉妹が相続人になるパターンでは、遺産分割がなかなかまとまらずに相続手続きが進まない可能性が出てくるのですね。そうなると、残された配偶者の方は大変ですね。

-そうですね。

遺産は配偶者の方にとっては生活保障となるものですし、故人の兄弟姉妹とも仲良く暮らしていきたいでしょうから。

では、残される配偶者が困らないためには、どのような対策を行っておくべきなのでしょうか。

-故人が生前に遺言書に配偶者や兄弟姉妹の相続分をはっきりと書いておくことですね。

遺言書で遺産をすべて配偶者に相続させると書くことも出来ます。兄弟姉妹には相続に関して遺留分というものがありませんから。

しかし、これではトラブルが生じるでしょうから、配偶者以外にも配慮した遺言内容にしておくのが好ましいと思います。

ちなみに、その遺留分というのはどのような制度なのでしょうか。

-遺留分とは、一定の相続人が最低限もらえると法律上認められている遺産のことで、相続人の立場によってそれぞれ割合が決まっています。

一定の相続人とは直系尊属と配偶者で、兄弟姉妹は含まれません。

具体的には、直系尊属は遺産総額の三分の一、配偶者と子は遺産総額の二分の一を相続する権利が法律上認められています。

もし、遺留分を超える相続等が行われた場合は、遺留分侵害額請求権を行使することができます。

なるほど、亡くなった方の兄弟姉妹には、その遺留分がないので、遺言書で配偶者を相続人に指定しておくことで遺産分割という争いの前提がなくなるわけですね。

-おっしゃる通り遺言書で配偶者を相続人に指定することは出来ます。

しかし、先ほども申しましたが、その場合は、配偶者と兄弟姉妹とにトラブルが発生しかねません。それを防ぐためにも兄弟姉妹にも一定の配慮が必要でしょう。

分かりました。すべて法律通りではかえってトラブルが生じやすいということですね。

ところで話題は変わりますが、遺言書の作成の仕方が少し変わったと聞きましたがどのような内容でしょうか。

-遺言書の中の自筆証書遺言について法律改正がなされました。

まず遺言書を法務局で保管してくれることです。これで紛失、改ざんの恐れはなくなりました。次に、保管された遺言書を開封するときに裁判所による検認が不要になったということです。

なるほど、これは前回のインタビューでも話題に挙がっていた方式ですね。比較的手軽に作れ、法務局で保管してくれる遺言書というのは、作る側にとっては活用しやすい制度のように思います。

本日はありがとうございました。

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